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個人の日記です

WEB+DB PRESS vol.77

見本誌を頂きました。いつもありがとうございます。

WEB+DB PRESS Vol.77

WEB+DB PRESS Vol.77

  • 作者: 中川勝樹,山内沙瑛,舟崎健治,吉荒祐一,今井雄太,八木橋徹平,安川健太,近藤宇智朗,奥野幹也,天野祐介,賈成カイ,伊藤直也,住川裕岳,北川貴久,菅原一志,後藤秀宣,久森達郎,登尾徳誠,渡邊恵太,中島聡,A-Listers,小俣裕一,はまちや2,川添貴生,石本光司,舘野祐一,沖田邦夫,澤村正樹,卜部昌平,吉藤博記,片山暁雄,平山毅,WEB+DB PRESS編集部
  • 出版社/メーカー: 技術評論社
  • 発売日: 2013/10/24
  • メディア: 大型本
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今回の特集は「スマートフォンテスト最前線」「Amazon Web Services最新活用」「実践Sass/Compass」の三本です。また、一般記事として「社内の情報共有・情報発信 クックパッドはいかにして場を築いたか」、連載記事に「Gruntによるフロントエンド開発作業の自動化」などが掲載されています。

以下、簡単ではありますが紹介します。

スマートフォンテスト最前線

大勢の開発者が日々苦労しているであろうスマートフォン向けアプリケーションのテストツールが多数紹介されています。

第一章でテストの対象、分類、技法などの戦略を紹介した後、第二章で Calabash によるネイティブアプリのテスト、第三章と第四章で Selenium と Jasmine による Web アプリのテストを紹介し、第五章では (なぜか急に Perl で書いた RSpec のような DSL を使った) RESTful API のテストと続き、第六章では TestFlight と Jenkins によるビルドとアプリの自動化と、(もはやテストでない内容まで含め) とても幅広く網羅しています。

誌面と内容の関係からか、やや駆け足な印象が否めないところはありましたが、まだまだ発展途上にあるスマートフォンテストという分野に積極的に取り組んでいる様子が伺える記事でした。

Amazon Web Services最新活用

AWS の中のひとによる AWS の最新機能の紹介と主要なサービスの使い方が詳しく解説されています。

第一章は AWS の各サービスがレイヤごとに簡潔に説明されており、恥ずかしながら個人的に AWS を使う機会があまりなく、EC2 や S3, RDS がどのようなものかぼんやり分かっている程度の自分にはとても勉強になりました。

第二章、第三章は EC2 と VPC, RDS を使ってセキュアでマルチ AZ な WordPress 環境を構築する手順が紹介されています。とても具体的で分かり易いのですが、誌面の都合かスクリーンショットが少ないので、詳細な手順をスクリーンキャストで確認できると、なお良いと思いました。

第四章は CloudFormation による構築の自動化の紹介です。第二章と第三章で構築したシステムをテンプレート化し、リソース名などをパラメータ化する手順が紹介されています。最後に、第二章で手動でインストールした WordPress を Chef で自動的にインストールする手順も紹介されています。

実践Sass/Compass

CSS プリプロセッサツールである Sass と、Sass を拡張したフレームワークである Compass の紹介記事です。Web デザイナ出身者による記事で、初心者にも分かり易い、とても丁寧な内容でした。

第一章で Sass/Compass の概要を理解し、第二章で CUI/GUI 開発環境を構築、第三章で Sass の基本文法と Compass の基本的なモジュールの使い方を学習することができます。

さらに第四章では一旦 CSS に立ち返ってモダンな CSS を書くための原則やフレームワークを紹介し、最終章の第五章では著者自身が現場で学んだバッドノウハウを紹介しています。テクノロジーに踊らされない、地に足の着いた実践的な内容で、とても参考になりました。

個人的には Playframework2 に内蔵されていることもあり、CSS プリプロセッサには LESS を使っていますが、CSS プリプロセッサは生産性や保守性を確実に向上させることができるので、Sass, LESS, Stylus 等からいずれかひとつを学習することをお勧めします。

社内の情報共有・情報発信 クックパッドはいかにして場を築いたか

WEB+DB PRESS Vol.76 に引き続きクックパッドさんの事例紹介です。

とても先進的な印象のあるクックパッドですら三年前は社内の情報共有・情報発信がうまくできているとは言いがたい状況だったとのことで、とても驚きました。

本記事では、そのような混沌とした状況を新たに開発した Wiki とブログを融合した社内情報共有ツールで改善した事例が紹介されており、業態に依らずどのような方にも参考になる、とても有用な記事でした。

Gruntによるフロントエンド開発作業の自動化

近頃よく目にするようになった Node.js ベースのタスクランナーである Grunt の紹介記事です。

近年の Web アプリケーション開発では、実践 Sass/Compass で紹介されている Sass や LESS, Stylus を CSSコンパイルしたり、CoffeeScript や TypeScript を JavaScriptコンパイルしたり、パフォーマンス改善のためにそれらをひとつのファイルにまとめ、さらにスペースや改行を削除するなど、実に様々な作業を行う必要があります。Grunt はこれらの作業を自動化するためのタスクツールです。

Grunt 自体はタスクファイルで指定されたタスクを実行するだけのシンプルなツールですが、ファイル更新を検知してプリコンパイルを自動実行する grunt-contrib-watch プラグインを初め、膨大な数のプラグイン が用意されており、とても魅力的なツールになっています。

本連載の次回以降で紹介されそうな気がしますが、Yeoman, BOWER と併せてフロントエンド開発者の必須技術となっていくことでしょう。

なお、Yoeman と Bower については以下のブログでも詳しく紹介されているので、併せて参照されることをお勧めします。

まとめ

ここしばらくは特定の言語やツールよりは、開発手法や業界ノウハウなどの紹介が多かった印象のある WEB+DB PRESS でしたが、久しぶりに技術重視の内容だったように思います。

これらの技術は PerlRuby, JavaScript などの LL を主に使われている方々はもちろん、monzou / 最近の Java Web 開発 - Glide でも紹介されている通り、Java などのエンタープライズ分野でも確実に活用していくことのできるものです。

技術に踊らされて右往左往するのも問題ですが、そもそも技術の存在を知らずに非効率な作業を延々とくり返すのも問題です。最新の技術が学べる WEB+DB PRESS vol.77 は また Amazon に在庫 がありますので、目を通してみてはいかがでしょうか。