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garbagetown

個人の日記です

WEB+DB PRESS vol.78

書評

見本誌を頂きました。いつもありがとうございます。

WEB+DB PRESS Vol.78

WEB+DB PRESS Vol.78

今回の特集は「実践スクラム」「DMM.com開発ノウハウ大公開」「Redshift徹底攻略」の三本です。また、連載記事に「Middlemanによる効率的な静的サイト構築」などが掲載されています。

以下、簡単ではありますが紹介します。

実践スクラム

アジャイル開発手法の中でもっとも活用されているスクラムの紹介と、ペパボ、ミクシィにおける実践例の紹介記事です。

スクラムに関する書籍やスライド、Web サイトは既に溢れ返っていますが、複数企業の実践例をまとめて読むことができる機会はなかなか無いので、参考になりました。

本特集の最後にて「理解は容易・習得は困難」とまとめられているように、スクラムは XP のように使用するツールやプラクティスが明確に定義されているわけではないので、どうしても書籍や記事の内容は抽象的にならざるを得ず、ひと通り目を通すと何をすればよいか分かったような気にはなるのですが、いざ実践するとなるととても難しい手法のようです。

アジャイル開発全体に言えることですが、これこそ銀の弾丸とばかりに飛び付き、理解不足や準備不足が原因で失敗し、アジャイルはだめだ、スクラムはだめだ、と短絡的に決めつけることのないよう留意したいものです。

DMM.com開発ノウハウ大公開

本号の目玉と言ってよい特集だと思います。本特集には背景と後日談があるので、必ずそちらも参照しましょう。

みなさんいろいろな形でお世話になっているであろう DMM.com の代表的なサービスとプラットフォームの紹介から始まり、サーバやネットワークなどインフラ構成の変遷、想像もしたくない規模の負荷をさばく秘訣や動画エンコード自動化の裏側と続き、なぜか英会話やソーラーパネル、3D プリントにまで進出している多様なサービスの導入、拡大、撤退戦略や、それを可能にする高速開発手法などなど、技術者であれば気になるノウハウが広範囲に渡り惜しげもなく紹介されています。

舐めるように読みましたが、特徴的だったのは動画エンコード進捗管理のために MySQL Cluster を導入しているという点くらいのもので、天才的なハッカーや先進的なツール、革新的な手法などはひとつも登場せず、実に地道に、丁寧にサービスを育てて来られたことが分かりました。

流行り廃りの激しい業界において、ブレずに基本的なことをしっかり続けていくことの大切さを痛感するとともに、本特集のきっかけとなった上記ブログと、そのブログからわずか半年で雑誌記事を掲載してしまう WEB+DB PRESS に畏敬の念を憶えました。

Redshift徹底攻略

がらりと雰囲気を一転して、Amazon が新しく提供を始めた分散並列 RDB である Redshift の紹介記事です。

Redshift とは何か、どのようなもので何に使えるのか、使う際にはどのようなところに注意するべきか等、かなり詳しく紹介されています。現在はまだベータ版であり、機能がやや不足していたり、使い方に癖があったりなどと気を付けることは多そうですが、一般的な RDB では手に余るデータ量だけれども Hadoop にかけるほど非定型的でもないデータを分析する際にはとても有用とのことです。

ビッグデータやデータサイエンティストなどのバズワード化もひと段落した感があります。このあたりを生業にされている方は、Hadoop/Hive と併せて引き出しのひとつに加えておくとよいのではないでしょうか。

Middlemanによる効率的な静的サイト構築

Chef, Vagrant, serverspec, Grunt と続き、次は yeoman, bower あたりかと踏んでいた連載ですが、今回は Middleman でした。次回は Docker でしょうか。

近頃よく名前を目にする Middleman は、静的サイトを構築する際に必要な一連のコマンドやサーバ、アセットパイプライン、テンプレート等を備えたサイトアセンブラとのことです。Markdown でドキュメントを書くことができたり、Amazon S3GitHub Pages へのデプロイや Twitter Bootstrap の組み込み、Google analytics ビーコンの埋め込みなどを簡易に行えるとのことで、OSS の Web サイトを作成する際などに重宝しそうです。

ちなみに "Scala on Rails" というコンセプトで作成されている Skinny Framework の Web サイトは Middleman を使っていたはずです。Web サイトのソースも公開されている ので、Middleman でどんなことができるか気になった方は参考にされるとよいでしょう。

まとめ

いつも絶妙なタイミングで旬な記事を読むことができる WEB+DB PRESS ですが、今回の DMM.com 開発ノウハウ大公開は頭ひとつ飛び抜けている感じでした。内容の素晴らしさもさることながら、これだけの情報が日本有数の技術誌に、このタイミングで公開されたことが本当にすばらしいと思います。

まだ Amazon に在庫 がありますので、ぜひ目を通してみてください。

ブログや Twitter, GitHub などのおかげで、技術者同士のつながりや情報の発信は本当に簡単に行えるようになりました。日本の技術者はとても優秀です。臆することなく(できれば英語で)情報を収集、発信していきましょう。