garbagetown

個人の日記です

2,000 RT の向こう側

いつもと変わらない夜だった。子供を風呂に入れて、子供の歯を磨いて、子供を寝かし付けて、子供が散らかしたおもちゃを片付けて、ようやく訪れる自分の貴重な時間。

妻が体調を崩してしまって早々に寝ていたので、「(子供は)寝た?」「うん」なんていう、いつものちょっとした会話がなかったところだけはいつもと少し違っていたけど、とにかくぼくは菊水ふなぐち生原酒を注いだグラスを持ってテーブルに付いて、いそいそと Macbook Air のフタを開けた。

で、いつもどおりプルリクエストに目を通したりドキュメントを翻訳したりしていたら、ゆろよろさんのこんなツイートが目に飛び込んできた。

あ、なつかしいな。ドラクエだ。「いのちをだいじに」にカーソルが当たっているところがいい。そう思ってすぐにお気に入りに登録して、リツイートした。

そのあと、ぼくはあまり深く考えずにそのツイートを少しだけいじってツイートした。

ツイッターに日々あふれ返っている、みんな大好きデスマーチ風パロディだ。「いのちをだいじに」じゃなくて「のうきをだいじに」ってところなんか笑えないよね、実際。

自分で自分のツイートに声を出さずに少しだけ笑ったあと、ぼくは菊水をひとくち飲んで、翻訳作業に戻った。

眠らないスクリーン

しばらく翻訳作業を続けていたら、スリープしていた iPhone のスクリーンがぱっと光った。

妻は明るい部屋が好きみたいだけど、ぼくは暗い部屋が好きなので、妻が寝たあとは間接照明以外はすべて消すのが日課みたいになっている。そんな薄暗い部屋で、そのときのスクリーンはひときわ明るく光っていたような気がする。

また酒呑み友達の飯テロかな、そんな風に考えたかどうかはよく覚えていないけれど、少しだけむずかしい翻訳に取り掛かっていたぼくは、すぐには iPhone に手を伸ばさず、ああでもない、こうでもないとぶつぶつ言いながら翻訳文をいじくっていた。

しばらく経って、なんとか納得のいく翻訳文を書き上げてプルリクエストを送ったぼくは、ようやく異変に気付いた。

どうしてスクリーンが明るいままなんだろう?

止まらない RT

ぼくの iPhone は、三分間なにも操作しなければスリープするように設定している。視界の隅でスクリーンが光ったことを確認してから、もうずいぶん時間が経っている。

そして、いつものアル中たちからの飯テロであれば、こちらが応戦しない限り爆撃は数分で止む。

なにかがおかしい。そう思いながら iPhone を手に取ったぼくの目に飛び込んできたのは、これまで経験したことのない数の RT 通知だった。

ぼくがこれまで経験したことがあるリツイート数は最大で 100 やそこらで、このとき既に 200 を超えていた気がする。それもどんどん増えていく。こりゃあすごい。ひょっとしたら 300 までいっちゃうかもな。

みるみる増えるリツイート数をしばらく眺めていたかったけれど、もう少し翻訳作業を続けたかったし、さっき言ったとおりぼくは暗い部屋が好きなので、iPhone のスクリーンをテーブルに伏せて、翻訳作業に戻った。

2,000 RT の向こう側

寝る前にもリツイート数を確認した気がするけれど、一日半缶と決めている菊水ふなぐち生原酒を一缶飲んだせいかよく覚えていない。とにかく目が覚めたら 400 RT を超えていて、iPhone の電池がずいぶん減っていた。

ここからが速かった。始業時間前には 500 RT 突破。午前中に 1,000 RT を突破。午後二時半頃に 1,500 RT を突破。そこから少しペースが緩やかになって、午後十時頃に 2,000 RT を突破。

お気に入りやリツイートの通知は一定間隔でまとまってプッシュされることや、ツイッター公式アプリの通知アイコンは 20 を超えると「20+」と表示されること、お気に入りが 250, それから 500 を超えると変なアカウントから褒められることなど、どうでもいいことをたくさん知った。

リツイート通知の弾幕に飲み込まれて知り合いからのメンションにまったく気付けなくなることも分かって、コミュニケーションの八割をツイッターに依存している身としてこれはまずい!と焦ったんだけれど、よく考えたらこんなことはもう滅多にないから余計な心配だった。

その後もぽつぽつとリツイート通知が届いていて、これがいつかぱったりと途絶えるかと思うと少し寂しい気もする。

遠く離れた家族からの連絡みたいだ。いつまでも元気に皆に愛されて欲しい。

余談

  • 本記事は当初「1,000 RT の向こう側」というタイトルでしたが、執筆中に 2,000 RT を超えたのでタイトルを変更しました
  • 最後の「ゆうきゅうつかうな」は当初「ラムダつかうな」でしたが、より多くのみなさんに喜んで頂けるようツイート直前に変更しました