改造レバーレスの基板を換装した (配線準備編)
改造レバーレス基板換装メモの配線準備編です。その他のメモは以下を参照してください。
- 改造レバーレスの基板を換装した (作業計画編) - garbagetown
- 改造レバーレスの基板を換装した (基板準備編) - garbagetown
- 改造レバーレスの基板を換装した (外装加工編) - garbagetown
- 配線準備
- 改造レバーレスの基板を換装した (組み立て編) - garbagetown
買い物リスト
配線を準備するために次のものを買いました。このほかに、基板準備編に書いた AWG24 ケーブルも使います。
物品名 | 購入先 | 単価 (円) |
---|---|---|
アイウィス(IWISS) 精密同時圧着ペンチ ラチェット式 オープンバレル端子 0.25〜1.5mm2小・中型端子対応 SN-58B | Amazon | 2,080 |
オーディオファン 平型端子 110 サイズ メス 50セット | Amazon | 933 |
JST型(PHR)4Pコネクタ付きケーブル | 千石電商 | 80 |
4P コネクタ付きケーブルは事前の検討が不足していたために買いました。詳細は後述します。
撤去
Mayflash F500 (以降、F500 と略記) の基板を改めて確認します。
作業計画編では次のように書きました。
中央上にある START ボタンと移動および攻撃ボタンからそれぞれ二本ずつケーブルが伸びており、F500 の PH コネクタに接続されています。つまり、各ボタンごとに GND が必要です。PFB 上部に実装されたターミナルブロックには各ボタンに対応したピンがあるものの、GND は 4 つしかないので、チェーン配線にした GND ケーブルを用意する必要があります。
PFB のターミナルブロックには SELECT, HOME (PS) も用意されていますが、TPAD は PFB 下部に 4 ピンコネクタのピン番号 20 として用意されています。購入予定の PFB にはベース付きポストも実装されているので、ハウジングだけ用意すれば良いです。
(省略)
最後に PS5 と接続する USB ケーブルを考えます。F500 のケーブルはメイン基板に 5 ピンコネクタで接続されている一方、購入予定の PFB には USB-C ポートが実装されています。既存ケーブルを加工して USB-C 端子を取り付ける方法も検討しましたが、USB-A から USB-C への変換などがむずかしそうに思えたため、既製品を購入することにしました。
START と移動および攻撃ボタンからケーブルを一本ずつ、右上の基板から SELECT, HOME, TPAD, GND ケーブルを流用し、そのほかは撤去します。
いつか PH コネクタが圧着されたケーブルが必要になるかもしれないので、ハウジングから引き抜いておきました。
右上の基板も一時的に取り外して不要なケーブルを引き抜いておきます。
4P コネクタ付きケーブルを買った時点では、ハウジングから PH コネクタ圧着済みのケーブルを引き抜くという発想がありませんでした。また、ファストン端子を圧着するために購入した SN-58B で PH コネクタを圧着できるか判断できませんでした。このため、TPAD ケーブルを次のように接続しようと考えていました。
F500 -> TPAD ケーブル (PH コネクタ切断、ファストン端子オス圧着) -> 4P コネクタ付きケーブル (ファストン端子メス圧着) -> PFB
その後、ハウジングから PH コネクタ付きのケーブルを引き抜いて次のように配線すれば良いことに気づきました。
F500 -> TPAD ケーブル (PH コネクタ圧着済み) -> 4P ハウジング -> PFB
このような経緯で購入した 4P コネクタ付きケーブルから不要になったケーブルを引き抜きます。ついでに PFB ではパススルー用 USB ケーブルに 5V を供給できないため不要になっていたケーブルも引き抜いておきます。
被覆剥き
F500 から流用するケーブルには、いずれもメイン基板に配線するための PH コネクタが圧着されています。PFB ではターミナルブロックに配線するので、PH コネクタを切断してから被覆を剥いて芯線を露出させます。次の写真の上側が PH コネクタが圧着されているもの、下側が PH コネクタを切断してから被覆を剥いたものです。
ワイヤーストリッパーを購入しなくてもニッパーでなんとかなるだろうと考えていましたが、力が弱ければ被覆が切れず、強ければ芯線ごと切断してしまい、予想以上にむずかしかったです。インターネットで見つけたラジオペンチとニッパーで代用する方法を試したところ、簡単かつきれいに被覆を剥くことができて、とても助かりました。
圧着
最後にチェーン配線にした GND ケーブルを作ります。先に完成したものを見たほうが分かりやすいと思います。間違えて両端にもファストン端子を圧着してしまいましたが、後述する通り片方はターミナルブロックに配線するので端子を圧着する必要はありませんでした。
アケコンのボタンは電子回路のスイッチです。ボタンを押すことで回路が閉じてゲーム機に信号が送られます。F500 の場合、例えば START ボタンと弱 P ボタンは次のよう配線されていました。
START 信号ピン -> START ボタン -> START GND ピン 弱 P 信号ピン -> 弱 P ボタン -> 弱 P GND ピン
冒頭に引用したとおり PFB には各ボタンごとの GND ピンは用意されていません。また、GND ピンは電圧をゼロにするためのものであり、共用できます。つまり、次のように配線しても動作します。
START 信号ピン -> START ボタン -> 共用 GND ピン 弱 P 信号ピン -> 弱 P ボタン -> 共用 GND ピン
各ボタンから同じターミナルブロックに配線する方法も考えられますが、ボタン数が多いのですべてのケーブル芯線をより合わせると太くなり過ぎてターミナルブロックに挿さらないおそれがあります。そこで、次のように各ボタンの端子を渡り歩いて最終的に同じ GND ピンに辿り着くようにチェーン配線したケーブルを作るわけです。
START 信号ピン -> START ボタン -> 弱 P ボタン -> 中 P ボタン -> (省略) -> 上方向ボタン -> 共用 GND ピン 弱 P 信号ピン -> 弱 P ボタン -> 中 P ボタン -> (省略) -> 上方向ボタン -> 共用 GND ピン
START 以外のボタンは両隣のボタンと GND ケーブルで配線する必要があるので、ひとつのファストン端子に 2 本のケーブルを圧着することになります。まず、上述の要領で被覆を剥いたケーブルを 2 本用意し、芯線をより合わせます。
これにファストン端子を圧着します。確実に信号が流れるように金属同士を圧着させる部分と、端子が抜けないように被覆を圧着させる部分の 2 箇所をかしめる必要があります。
この 2 箇所を同時にかしめてくれるのが IWISS SN-58B です。AWG24 のケーブルを 2 本束ねて圧着する場合は 1.0 のダイスが使いやすかったです。ダイスにファストン端子を乗せてカチカチと 2 回鳴るまでゆっくり握ってダイスに端子を固定します。
ここにケーブルを挿し込んでかしめるわけですが、ラチェット式の圧着工具は 2 箇所を同時にかしめるためダイスの幅が広く、ケーブルを適切な位置に挿し込めているか視認しづらい欠点があります。そこで予備のファストン端子にケーブルを当てがい、ここまで挿し込めば良いという位置までファストカバーを引き上げて、ズレないようにしっかり握ってから圧着工具に挿し込む方法を考えました。
ファストンカバーが圧着工具に押し当たる位置までケーブルを挿し込んだら、圧着工具をしっかり握ってかしめます。最後まで握るとロックが解放されて端子を取り出せるようになります。ファストン端子側の 2 箇所の金属が芯線と被覆にしっかり食い込んでいれば圧着成功です。
これですべての準備が整いました。次は組み立てについて書きます。